敷地は起伏に富んだ住宅地の一角で、前面道路から3m近く高い位置に宅盤が形成されていました。この高低差を生かし、地下1階+地上2階建ての住宅を計画し、最大限、敷地の魅力を設計へ落とし込むべく、各階に適切な機能を与えていきました。地下1階はエントランスホールに加え、防音や遮光性に優れていることからゴルフシュミレーターを併設した艶やかな雰囲気の趣味室を設け、施主様のお好みである英国貴族の邸宅を参照した特別な応接空間として設えました。1階は良好な採光条件と敷地形状を考慮して、東西に長いテラスを設けました。LDKのどこにいても屋外空間が近くに感じられることで、開放的で伸びやかな印象に与えています。また、一部の天井高さを抑え、脇にヌックを設けるなど、落ち着いた居場所との両立を図っています。2階は遠方への眺めが良好であるため、各個室に大きな窓とバルコニーを設け、時折、景色を眺めながら、各々の時間を過ごすことができるよう考慮しました。これら各階の個性をひとつながりの経験として束ねるのが3層吹き抜けの階段空間です。アプローチから2階まで、くるくると向きを変えながら上り下りする中で場面が展開していく楽しさは、この場所の地形的特徴とも非常に親和性が高いといえます。