計画地は開発された広い分譲地内に位置し、自然豊かな周辺環境に恵まれた70坪強の敷地です。施主様は当初より敷地が前面道路から1.3mほど宅盤が上がっていることによる建物の見え方や、隣地がさらに高い地盤にあることによる視線を気にされていたため、それらを解消しつつ、明るく開放的な空間をつくることがご希望でした。そこで、大きな中庭をつくりたいというもう一つのご希望と、プライバシーに配慮した生活空間を確保するため、建物の中心に中庭を配置し、中庭を囲むようにLDK、その外側に水まわりやファミリークロゼットなどの家事スペースを配置し、回遊できる動線計画としました。中庭の壁は隣地の視線等を詳細に検討した高さに設定しながら、室内に南側からの自然光を十分に採り込めるようにしました。さらに中庭に面して吹き抜け、吹き抜けに面して階段を計画することで、2階に上がったときの開放感やリビングとのつながりを生み出しました。外観は宅盤が上がっていることで建物の基礎部分が通常より多く見えてしまい間延びすることを避けるため、前面道路側の土はすべて取らずに残し、石を絡めて傾斜の仕上げとしました。また、通常とは異なる壁の納まりを用い、タイル面の外壁を基礎部分まで張り下ろすことでバランスに配慮しました。内外の工夫によって、窓のない外観からは想像できない開放的な住まいとなりました。