計画地は駅にほど近い閑静な住宅街の一角にあり、代々ご親族がお住まいになっていた場所での建て替え計画です。南側が道路に面した広大な縦長の敷地を活かし、平屋での計画としてスタートしました。ご親族やご友人が集まって利用できる広い中庭をつくりたいというご希望を受け、南側には大きく開いた開口部から緑が広がる明るい庭、北側にはアプローチと玄関ホールにも面した中庭、二つの外部空間に接した大空間のLDKをもつ計画をご提案しました。南側の庭は、道路面に設けた別棟のガレージと迂回したアプローチを構成する塀、その上部に覗く高木によって外部からの視線を遮り、旧家から引き継いだ景石と豊かな緑が広がる景色としても楽しめる空間となっています。また、南側とは異なる雰囲気をもつ北側の庭は、室内の床に合わせた木目調タイルを敷き、天井の木調ルーバーが室内のような落ち着きをもたらす半屋外空間のように仕上げました。リビングと対峙するように配置したL型のソファは室内の延長であるような雰囲気をさらに強調する役割を果たしています。さらに、室内で使用する床や壁の材料、色味はできる限りまとめ、家全体の雰囲気に統一感をもたせるインテリア計画としています。このような要素によって完成したこの家は、ご家族皆様が長く穏やかに生活していただける素敵な住まいとなりました。