周囲には田や畑、南側には山が望める緑豊かな自然に囲まれた場所での計画です。プライバシーを確保しつつ、南に広がる景色を生活の中に取り込み、四季を愉しみながら穏やかに過ごしていただける空間をコンセプトに、生活の各シーンで山の持つ雄大さを様々な角度から感じることができる住まいをイメージして計画しました。外部の構成は2階部分をセットバックさせ、庇や塀の水平ラインを強調し、道路際に背の高い植栽を配置することで、建物のボリュームが持つ圧迫感を抑える配慮を施したファサードとなっており、その庇と壁に囲まれたアプローチを抜けて室内にアクセスします。内部は自然と真正面に対峙する日常とは少し距離を置いた空間であるラウンジを中2階に設け、そこを中心として全体を構成しました。特別な空間であるこの場所は、天井までの大開口に加え、床や壁、照明器具や家具、書庫と区切るブラックガラスなど、日常を過ごす場所とは敢えて一線を画したインテリアを実現しました。また、1階と2階の間に生まれる隙間が空だけを切り取った景色をリビングに届け、1階の床レベルからさらに階段を下りてアクセスするラウンジの下部には、リビングと緩くつながった書斎とトレーニングスペース、離れのような和室を設け、ラウンジを中心に立体的な空間構成を持った住まいが完成しました。