高台に区画割された分譲地での計画です。敷地は南北両面に道路が面しており、北側が交通量のある主幹道路、南側が分譲地を通す生活道路です。計画地周辺は既に住宅が立ち並んでおり、本計画は最終区画での計画でした。同業で共働きの建築主ご夫妻のご要望は「デザインと暮らしやすさの共存」であり、単にデザインが良いだけでなく、ストレスのない暮らしや家族が喜ぶようなデザイン性を求められました。そこで毎日のルーティンをストレスなく、連続して行うことができる機能的な「生活動線」と、ゆとりを持った「くつろぎ動線」を明確に区分しました。玄関は2WAYアクセスで家族とゲストの動線を分け、生活動線は収納から洗面、脱衣、浴室、ファミリークロゼットへと連続させて、帰宅時の手洗い、洗面、着替えを連続して行えるようにしました。そして、ゲストは正面の開放的なLDKとゆったりつながる動線を確保しました。ダイニングはキッチン横に計画して家事をスムーズにこなせるようにし、さらにリビングと向かい合わせにすることで、LDKの一体感を強調しました。リビングは天井を高くし、テラスと連続させて開放的な空間に。テラスは建物と一体化した外壁でプライバシー性を高めたアウトドアリビングとして計画しました。さらに、リビング背面には散らかりやすいキッズスペースやワークスペースを区画することで、乱雑になっても気にならない裏動線を確保しました。2階は1階よりもボリュームを小さく計画し、ご主人の書斎と各寝室をコンパクトにまとめました。ご主人の休憩スペースでもあるバルコニーは正面に計画することでファサードを印象的に見せ、書斎からは外部を見通せるような開口を設けました。建築主からのご要望だけに問われることなく、建築主と設計者がともに意見し、アイデアを出し続ける。家族がどうしたら喜びをもって毎日を過ごすことができるのかを問い続けることで「カゾクヨロコブ家」が完成しました。