小高い丘にある昔ながらの閑静な住宅地での計画です。周辺には緑豊かな公園があり、荘厳な周辺環境が形成されています。敷地は、南東角地という絶好の立地でありながらも高低差があり、密接した近隣住宅と活発な交通量がある環境下にあります。ご主人は建築系エンジニアとしてお勤めですが、木造建築を扱うことがほぼ無いことから、住まいは木の温かみを感じながら暮らせる家が良いという思いをお持ちでした。そして、住宅性能や敷地の特性、ライフスタイルに考慮した動線の確保にも重点を置くことを望まれました。外観は、北側をシンプルなデザインとし、交通量が活発な南側を木製サイディングで仕上げ、帰宅時から木を意識できるようにしました。また、角地に佇むシンボル的な要素も含んでいます。室内は、南東側に計画した庭を取り囲むようにダイニングキッチンとリビングを計画しました。庭を木製フェンスで囲い、シンボルツリーを植えることで、LDKのどこからでも庭を感じられるようにしました。リビングは平面だけでなく立体的に庭とつなげるため、吹抜けを設けました。この吹抜けに面してロフトを設け、ご主人の趣味スペースにして「らしさ」を演出しています。1階には、LDKに近接して奥さまのワークコーナーとサニタリー空間を配置しました。サニタリー空間は玄関からすぐにアクセスできる帰宅動線も確保しており、オンとオフをはっきりと切り替えられるよう計画しています。2階には寝室とご主人の書斎を配置しました。これらの空間をふたつの吹抜けでつなげることで、どこにいても家族の気配を感じ取れるようにしています。施主様ならではの豊かな感性とご家族に対する想い、エンジニアとしての知識から住宅の外殻と計画が形成されて、本住宅は完成しました。そして、完成した感性豊かな木の家は、施主様だけでなく往来する人々にとっても「気になる木の家」として存在感を放っています。
LIXILメンバーズコンテスト2018/敢闘賞[LIXIL主催]