家づくりは土地探しや建築会社選びからはじまり、間取り、壁紙の色などまで、大小さまざまな決断の連続です。何かを決断するということは、どれもエネルギーが必要なことで、人によってはストレスも感じやすいものです。

また、家づくりは、どれだけ自分自身が納得した決断ができたかによって、暮らしはじめてからの満足度が大きく変わってきます。これはとても重要なことです。それではどうすれば納得のいく決断をすることができるでしょうか。一つの考え方を参考にご紹介します。

まずは優先順位をつけることが大切

家づくりをはじめるとついつい「アレもコレも」となってしまいます。「ずっと叶えたかった」という長年の想いや「雑誌で見ておしゃれだったから」など理由はさまざまです。それらを全て叶えられればベストですが、家づくりには予算があります。たとえすべての要望が詰まった夢の家を描けたとしても、予算がオーバーしてしまえば、実際に建てることはできません。

そうならないためにも、家づくりでは要望に優先順位をつけることが大切です。優先順位をつけることで、自分たちの暮らしに本当に欲しいモノ、必要なモノが分かるようになります。また、コストパフォーマンスが高く、無駄のない洗練された家にすることができます。

モチベーションが上がるかどうかを基準に

人によって優先順位のつけ方は異なります。そのため「それはモチベーションが上がることですか？」という問いかけをお客様にさせていただきます。

例えば、キッチンについて考えてみましょう。

キッチンなどの設備機器は十数年で取り換えになることもあり、構造材や外壁材、断熱材などと比べて取り換えも容易なため、施工面や快適性を考慮すると、一般的に優先順位は低くなります。しかし、これはあくまでも一般論です。

使いたいと思うキッチンを採用することで、毎日の料理が楽しくなり、その料理を家族が美味しいと食べてくれることで、さらに料理に対する意欲が上がれば、キッチンはとても価値の高いものになります。何より、家族が楽しそうに料理をしている姿を見ることで、家全体が明るい雰囲気になってくれます。

この好循環を生み出しているのが「楽しく料理ができる」という「モチベーション」です。モチベーションの源となるキッチンであれば、一般的に優先順位の高くないキッチンでも思い切って費用をかけ、その他で調整しても納得のいく選択となるでしょう。

このようにモチベーションは優先順位の判断基準の一つとなってくれます。ここで大事なことは価格帯が高いキッチン＝モチベーションが上がるキッチンとは限らないということです。皆さまが料理をしていて楽しくなりそうなキッチンを選ぶことが大切です。

続いて、家の外観について考えてみましょう。

外観は男性の方がこだわる傾向が強いようですが、外観を良くするためにも費用がかかってきます。「外観を格好良くしたいご主人」と「外観にはあまり興味がなく、コストを抑えたい奥さま」で意見が対立といったことはよくあります。何となくどちらかが折れて解決ということもありますが、それでは折れた方が納得してないことが多く「外観にお金を掛けたから〇〇ができなかった」など、トラブルの火種になってしまうケースも考えられます。

また、それがきっかけで「家に何の愛情も湧かない」なんてことになってしまうのは寂しいものです。こういうときも外観デザインに力を入れることで、日常生活のモチベーションが上がるかどうかを確認してみてはいかがでしょうか。

帰宅時にかっこいい我が家を眺めることで「明日も頑張ろう」という毎日の活力になってくれるのであれば、費用をかける価値がありますし、そういう価値が見いだせれば、奥さまも納得した上で家づくりを進められるようになります。

一方、どうせならかっこいい方が良いなど、明確にモチベーションが上がる訳ではないのであれば、モチベーションが上がる他のことに費用をかけた方が価値のある家になります。このように優先順位で迷った時は「モチベーションが上がるかどうか」を考えてみることで、優先順位を整理することができます。

まとめ

家づくりは大きなことから小さなことまで決断の連続です。もちろん、すべてにおいて悩み抜いた上で決断をするのは大変で現実的ではありませんが、特に要望の優先順位についてはしっかり考えることで、完成する家の質は大きく変わってきます。決断に迷ったときは一度「モチベーションが上がるかどうか」を基準に、優先順位を整理してみてください。