その他 | 2019.03.23 土地を購入するときや家を建てるときに「不動産登記」が必要となります。このときにお世話になる方が「土地家屋調査士」と「司法書士」です。しかし、「そもそも違いが分からない」、「それぞれでどんな役割を担っているのか」というご質問を受けることがあります。そこで、家づくりでは土地家屋調査士と司法書士の方にどのようなことをサポートいただくことになるのかを簡単にご紹介いたします。土地家屋調査士とは土地家屋調査の方にご依頼することは主に3つあります。(1)土地面積の測量を行い、境界を確定させる(2)登記表題部の変更や新規の申請を行う(3)住宅家屋証明書の取得を行う(1)土地面積を測量し、境界を確定させる土地家屋調査士の主な仕事は、土地面積の測量と境界プレートの設置です。売買されている土地の面積は土地家屋調査士の測量結果に基づいています。測量した土地面積を図面に起こしたものが測量図です。測量図を使用して建物の建築確認申請を行うため、測量図が無ければ建物を建築することができません。測量図は土地の境界プレートの位置を記しているものが一般的です。万が一、境界プレートが無くなった場合も測量図を基に土地家屋調査士が復元します。(2)登記表題部の変更や新規の申請を行う登記簿謄本の表題部には、対象不動産の面積、建物の構造、住所、地目など対象不動産の基本的な情報が記載されています。しかし、新築した建物の場合、最初はこの表題部に何も表記がありません。土地家屋調査士が建物完成後に表題登記を申請することによって、建物の表題部を設定することができます。なぜ、表題登記の申請が必要かと言いますと、それは建物が完成しても何もしないままでは、人でいうと「出生届が提出されていない」という状態と同じだからです。そこで表題登記で建物が存在することを申請し、その後、建物に所有権保存登記(誰の所有かを示す登記)を申請できるようにするのです。(3)住宅家屋証明書の取得を行う住宅家屋証明書とは「購入する住宅は居住用の住宅です」ということを証明する書類です。購入者自身が住むための不動産を購入した場合、登録免許税が格段に安くなります。そのため、登録免許税の減税措置を目的に、土地家屋調査士は住宅用家屋証明書を取得します。不動産購入は「居住用に住宅を購入する」という目的だけではありません。不動産投資やビジネスでの使用を目的に購入することもあります。その場合は居住用ではないため、高い税金を支払うことになります。上記以外でも、農地から宅地に地目を変更する申請(農地転用申請)や、古い敷地などで実測と登記簿面積が大きく異なる際の訂正業務も土地家屋調査士の仕事の一つです。司法書士とは司法書士の仕事は主に権利に関する登記です。その登記は大きく二つに分けられます。(1)購入した物件の権利を売主から買主へ登記する(2)銀行で借り入れした住宅ローンの担保権を登記する(1)購入した物件の権利を売主から買主へ登記する=所有権移転登記例えば、土地購入を行った際、決済時に司法書士が売主から買主へ物件の名義を移転する手続きを行います。司法書士がこの所有権移転登記を行うと、登記簿謄本の甲区(所有権に関する登記)に買主の名前が記され、売主の名前に下線部が引かれます。下線部が引かれているところについては効力がないものと見なされます。ちなみに、このような権利に関する登記は、土地家屋調査士では行うことはできません。(2)銀行で借り入れした住宅ローンの担保権を登記する=抵当権設定登記買主が借り入れた住宅ローンの担保設定も司法書士が行います。担保設定ができなければ物件の引渡し及び住宅ローンの融資実行ができません。司法書士が買主の所有権移転登記と合わせて、抵当権設定登記を登記簿謄本の乙区(所有権以外に関する登記)に記します。この登記を終えることで、銀行は安心して住宅ローンを融資することができます。まとめ「土地家屋調査士」と「司法書士」の違いについて説明しましたが、いかがでしたか。■土地家屋調査士は、建物の構造の登記はできるが、司法書士にはできない。■司法書士は、権利に関する登記はできるが、土地家屋調査士にはできない。どちらも住宅購入にあたって必要な登記を行ってくれていますが、それぞれ役割が違います。この連携があるからこそ、住宅購入を安心して行うことができるのです。