建設地は山に向かう斜面を宅地として造成した閑静な住宅地の頂上に位置しています。現地は緑に囲まれ、神戸と大阪の街を一望することができる斜面地を含んだ敷地です。施主さまからの依頼は、この敷地を最大限に活かし、昼夜ともに眺望を楽しめ、静かな時間を過ごせること。又、南東方向の遠方に広がる情景のみを享受する大きく開かれた空間を求められました。高台にあるとはいえ、室内からは周辺の既存建物が目に映るとともに、下方からの視線を遮る必要がありました。これらの要望から本計画では非日常的な山の中にある、空に近い展望の家を創造しました。建物を奥に配置することにより、何ものにも遮られず遠くまで見渡せ、下方からは空中を浮遊する幻想的な建築に見せています。そして、多くの開口部と最大限の空間を必要とする計画でしたが、施主さまの願いでもあった日本建築の象徴と言える木造(SE構法)を選択し、構造計算により耐震等級2を確保する提案を行いました。3.64m×3.64mの大きなグリッドを平面的に並列させ、最大空間では7.28m×7.28mの平面に天井高4mを確保し、南東方向には全面的に開口部を配置。この大きな空間を単純に並列し内部空間を連続させ、視線を無意識に誘導される方向に床レベルを合わせたテラスと水盤にも代わる21m×2.5mのプールを平行に設置しました。この水平面は外部と室内に最大限のつながりを持たせ建築として一体化するとともに、室内と下方からの視線を有効に遮り、空に近い浮遊感(AIR)を際立たせています。室内から広大な景色を水盤越しに見ながら過ごす時間は、非日常的でありながらも日常としての豊かな暮らしを実現します。
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