計画地は新たに開発された分譲地の一角。周辺は若年層の帰郷で新陳代謝をするように変化し、新たな街並みを形成しています。共働きで毎日、仕事に子育てにと充足した日々を送り、新生活への思いを募らせておられた建築主の主たるご要望は「動線計画」と「いごこち感」でした。動線計画は家事だけでなく、帰宅、収納、洗濯・物干しなど、日常の使い勝手に関わるあらゆる角度の動線に対して高い意識をお持ちでした。いごこち感は、メリハリのある空間とデザインされた居住性、スムーズな所作、生活感のない空間といった、少ないキーワードの中に多くの思いが溢れていました。そこで南庭を囲むようにリビングとダイニングキッチンを配置し、リビングには太陽が差し込む高天井と外部袖壁に囲まれた中間領域を計画し、居心地のいい空間をつくりました。さらに、エントランスを起点に、水まわりと収納、LDK、2階への動線、すべてにアプローチできるゾーニングを行い、複数の動線が叶うように計画しました。住宅というハード、住まい方というソフト、それぞれで工夫を行うことによって、多忙な日常も大いに楽しめる「日常を楽しむ家」として完成しました。